このコーナーは、30数年にわたりグラフィックデザイナー、アートディレクターとしてデザインの現場で仕事をしてきた秋山ワークスの秋山満雄が提供しています。
●美しい形「黄金矩形」 ●デザインはマイナスの作業 ●デザインの「諸行無常」 ●「電球あります」 ●そこにしかない、デザインを。 ●デザイン価格について ●グラフィックデザイナー、仕事の領域 ●競合プレゼンテーションについて ●特別企画 「グラフィックデザイン、デジタル革命」 それは、アップルからはじまった。
「黄金矩形」「黄金分割」という言葉を耳にされたことはありませんか。古くから最も美しい形として今日に受け継がれている「矩形」(長方形)です。 モノの基本形として、円と四角(矩形)があります。円は地球や月、太陽の形や水滴、果物など、自然界に多く見ることができます。 一方、矩形は殆ど探すことができません。しかし、「矩形を基本とする造形」は、自然界には、多数存在しています。例えば、木の枝の幹から張り出す角度や植物の葉の葉脈を分析すると、矩形に深い関係があることがわかります。これら、自然界の「矩形を基本とする造形」を元にして人類が生み出したと考えられるモノの基本形が矩形と言われる図形なのです。こうして生まれた矩形をさらに発展させ、「美しい矩形」を定義してきました。例えば、日本では古くから「7:5:3」という比率に基づいた矩形が美しいとされています。また、平方根を基礎においた美しい矩形も存在します(とは言え、7:5:3の矩形も平方根の矩形も本質的には変わりません)。 最も身近にある美しい矩形は、用紙のサイズのA版とB版ですが、これは、1:ルート2の比率です。ところで、用紙のサイズは何故、A版とB版にわかれているのかご存じですか。A版はドイツで生まれたサイズで、B版は日本古来の紙の大きさから生まれたサイズなのです。それなのに、用紙の比率は1:ルート2で、ほとんど同じなのです。不思議と思いませんか。これら、美しい矩形の探究の中で、「黄金矩形」と呼ばれる最も美しいとされる矩形も生まれました。黄金矩形は黄金分割という作図法で作図され、現代では名刺などに利用されています。
主な例 ・ルート2及び5:7の比率 官製ハガキ/洋形封筒2号/用紙サイズA版・B版/新聞全段 ・黄金矩形及び3:5 名刺 ・1:2 畳/襖/屏風 ・ルート5 新聞広告全5段/洋形封筒4・5号/長形封筒2・4号 探せばいろいろなモノが発見できるかも知れません。
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