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デザインコラム

 競合プレレゼンテーションについて

 

競合プレゼンテーション

 

世の中には受注の公平を保つために「入札制度」と言うものがつくられている。それでも、談合疑惑や入札指命業者をめぐって多くの問題が噴出している。

グラフィックデザイン業界にもバブル崩壊以後、加熱の一途をたどるのが、競合によるデザインプレゼンテーションである。
競合によるデザインプレゼンテーションの場合、複数の業者に参加依頼を働きかけデザイン競走をさせ採用業者を決定しょうというものである。そのこと自体は、デザイン業界や新人デザイナーにとっても一つのチャンスをつかむことが出来たり、新しい刺激を得ることになり歓迎すべきことなのである。
しかし、そうとばかり言っていられない問題を抱えているのも事実である。中には、企業のモラルを疑いたくなるような場合さえある。ひとつの企業で販促ツールの制作が発生した場合、その企業の担当者が出入り業者や参入希望業者(広告企画制作代理店、印刷関連会社、デザイン企画会社などの各営業マンを通して)に競合プレゼン参加の意志を確認する。規模もさまざまで数社から十数社におよぶこともある。

 

 


一番の問題は、「制作費や人件費」の清算をどう解決するかである。


1週間〜2週間を費やす制作期間も多々ある。大抵は無料参加というのが一般的にされている。しかし、だれかがその費用を分担することになる。広告企画制作代理店や印刷関連会社の場合、その制作を外部ブレーンのデザイン制作会社に依頼することがほとんどである。当然プレゼンテーション費用も依頼された広告企画制作代理店や印刷関連会社から支払われることになる。プレゼンで採用された場合は問題はないのだが、不採用時にはプレゼン制作にかかった実費を全額回収することはまずできない。

 

 


もうひとつの問題は、「プレゼンテーションの審査方法」である。


企業側からデザイン企画提案についてオリエンテーションが行われ(そのオリエンテーションもしっかり行われない場合もある)、社に持ち帰りその規模に応じて制作チームが構成される。クリエイティブディレクター、アートディレクター、デザイナー、コピーライター、時によっては、イラストレーター、カメラマンなどを加えたチームになることもある。制作行程は大きく2つに分けられる。1つは、企画アイデアの行程。2つめは、デザイン制作の行程である。決められている制作時間内で、アイデア企画検討会議やデザイン制作打合せなどを行ない制作に全力を傾けプレゼン当日は体力も気力も使い尽くした状態で向かえることになる。

プレゼンテーションを行ない、数日〜1週間前後をかけて審査が行われ制作業者が決定し、参加業者に通知される。その場合、経験的事例によればデザイン制作者側が納得できる審査経過があまり公表されないということである。
世の中には、公募展やコンペテションは毎年数多く開催されるが、主催者側の責任やモラルとして募集要項やさまざまな規約が整備されている。募集背景、募集内容、審査基準、審査員の公表を初め、審査決定後には審査経過、審査評、決定理由など公募者が納得できるシステムが用意されている。

企業にそれと同等のものを求めるのは無理かもしれないが、社会をささえ、発展・成長させる指命を持つ立場にあるからこそ「参加の平等と審査の公平」の原則を追求していただきたい。
プレゼンテーションで、採用されることもあれば、その逆もそれ以上にある。それを当然わかった上での挑戦なのである。企業の制作依頼担当者はそのことを十二分に認識していただきたい。また、担当者のみが平等と公平を掲げても社内に浸透しなければ、その試みは失敗に終わってしまうのである。

デザイン制作者にとって審査経過や審査評、決定理由を聞くことは、それ以後の勉強や成長に大きく関わってくるのである。何故ダメだったのか。何故、採用されたのか。それはデザイン制作者からしてみれば「制作費の問題」以上に大きな問題なのである。企業側の責任としてやはり明確に伝えられる審査システムを要望したい。

 

 


企業担当者のための競合デザインプレゼンテーション方法のポイント


 

 

1. 参加業者の選択とプレゼン費用の計上


参加業者が多いから素晴らしいものが提案されるとは限らない。「参加の平等」を原則として、プレゼンテーションを行なえるにふさわしい実力を持った業者であるかを見極める。
グロスの制作費用の中からプレゼン費用を計上し不採用業者にも制作関連発注業務の一部としてプレゼン費用の支払を行う。

 


2. 参加全社のオリエンテーションの実施


個別オリエンテーションと参加業者全てを集めた全体オリエンテーションがある。情報の公平性の視点からも全体でのオリエンテーションが望ましい。
審査決定責任者の出席と審査視点の公表(発注担当者のみのオリエンテーションだと形式的説明のみにかたよりやすく決定者の真意が伝わらない場合がある)

 


3. 参加全社のプレゼンテーション制作物の閲覧機会の提供


競合他社がどんな制作物を提案したかは、同じ土俵で勝負をするものにとって最も知りたいことのひとつである。多くの場合この閲覧の機会が与えられてはいない。

 


4. 審査経過および決定理由の発表


オリエンテーション時に審査員、審査方法(審査員全員の投票、合議制、社長または責任者一任など)の提示。
プレゼンテーションによる業者決定後審査経過の発表、決定理由の発表

 

以上、審査の公平性や透明性の視点からぜひ実施して頂きたいポイントである。

 

 


 
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